会社情報Company Information

株式会社NEO ACADEMYの会社情報はこちらからご確認いただく事ができます。

  1. 代表あいさつ

    伝統を重んじ、新しく改革していく

  2. 会社概要

    株式会社NEO ACADEMYの会社概要

中国に支店を出すなら「有限公司」一択;代表処では通用しない法律と実務の真実

中国市場への進出は、もはや一部の大企業だけの戦略ではなくなってきました。中堅・中小企業にとっても、販路拡大、現地ニーズへの対応、生産体制の構築といった目的から、中国に拠点を構える必要性が現実的な課題となりつつあります。
では、その最初のステップとして「中国に支店を出す」とき、どのような設立形態を選ぶべきなのでしょうか。

よくある誤解「代表処(代表事務所)」

多くの企業がまず検討するのが「代表処(代表事務所)」ですが、これは致命的な誤解を孕んでいます。
実は、中国の法律において、代表処はあくまで非営利活動のための窓口機関であり、商業的な営業活動を行うことは一切認められていません。つまり

  • 現地で契約を結ぶことができない
  • 請求書を発行することもできない
  • サービスや商品を販売することも不可

このような制度設計は、中国の《外国投資法》や《代表処管理条例》といった法制度に明確に規定されており、違反すれば営業停止や罰金、最悪の場合は強制撤退という処分の対象となることもあります。

実際、現地のビジネスパートナーや行政機関も、代表処に対しては「ビジネスができない組織」という理解を前提に対応しています。

中国法人を設立する方法「有限責任公司(有限公司)」

一方で、「有限責任公司(有限公司)」、つまり中国法人を設立する方法であれば、法的な法人格を有する企業として、現地で正式に事業活動を行うことが可能です。具体的に、

  • 契約の主体になれる
  • 人民元建てでの請求や回収が可能
  • 従業員の雇用と社会保険への加入できる
  • 正式な銀行口座の開設など

すべての商取引インフラが利用可能になります。これはつまり、日本企業が中国市場において「信頼される取引主体」として立ち位置を確立するために、最も本質的な条件なのです。

新しい制度《中華人民共和国外商投資法》

2020年1月に施行された《中華人民共和国外商投資法》では、これまでの外資三法(中外合資、外商独資等)を統合し、より透明で自由な市場環境を目指す法改正が行われました。この新制度の下では、日本企業を含む外国企業も、中国企業と同様の法的条件で有限公司を設立できるようになり、国民待遇が保障されています。

もちろん、いくつかの業種には依然として外資制限(ネガティブリスト)が設けられており、教育や出版、金融などでは一定の出資比率制限や行政許認可が必要ですが、一般的な製造業、IT、コンサルティング、サービス業では、100%外資による設立が問題なく可能です。

実務プロセス

実務的には、登録資本金、法定代表人、登記住所、事業範囲などを申請し、工商登記・税務登録・銀行口座開設を経て、法人としての機能が立ち上がります。日本法人の子会社として設立することも、個人が出資する形で設立することも可能であり、設立期間は都市や業種によって異なりますが、一般には2~3ヶ月程度が目安となります。

現地政府から「正式な経済主体」として認められる

現地法人設立に伴って発生する税務義務や法的責任も無視はできませんが、それは裏を返せば、現地政府から「正式な経済主体」として認められることを意味します。
信用格付け制度や、電子インボイス制度など、中国政府が整備を進める商業インフラに正面からアクセスできるようになり、長期的な取引や行政支援策の対象としても有利に働くのです。

注意すべき点

特に注意すべきは、最初に「様子見で代表処を設立したが、結局ビジネスができずに有限公司を設立し直した」というケースが後を絶たないという点です。このような二重投資は、時間的・経済的ロスだけでなく、現地市場やパートナーからの信用喪失という形で、回復困難なダメージを与えることも少なくありません。
戦略的に見るならば、最初から「営業可能な法人格」を選択することこそが、最も合理的かつ安全なルートなのです。

まとめ

支店設立という言葉の響きに惑わされることなく、法律的にも、事業戦略的にも、明確に営業が認められた現地法人=有限公司の設立が、中国進出における正攻法です。特にこれから中国での売上創出や人材採用、地域密着の事業展開を視野に入れるのであれば、代表処ではなく有限公司こそが、あなたのビジネスの“足場”ではなく、“柱”となるはずです。

なお、本記事で取り上げた「有限公司の法的正当性と設立意義」はあくまで出発点に過ぎません。実際の進出を検討される企業にとっては、より実務に即した情報と判断材料が必要となるでしょう。
現在、以下の続編記事を順次公開予定です。

《有限公司設立チェックリスト》
登記前に確認すべき書類、要件、スケジュールを網羅。初動でつまずかないための実務ガイド。

《地域別 登記要件・税務優遇一覧》
上海・深圳・広州・蘇州など、主要エリアにおける政策差、認可条件、インセンティブを徹底比較。

《法人設立後の運営・会計実務ガイド》
税務申告、発票管理、会計ソフト導入、労務・社保対応など、現地法人運営に不可欠な知識とノウハウを体系化。

これらの実務記事は、「設立して終わり」ではなく、「設立後に安定運営する」ための地図として機能することを目指しています。
中国進出を検討中の皆様は、ぜひ次回の公開にもご期待ください