会社情報Company Information

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  1. 代表あいさつ

    伝統を重んじ、新しく改革していく

  2. 会社概要

    株式会社NEO ACADEMYの会社概要

「ホウレンソウ」では解決しない外国人材定着の問題

1.判断の線が引かれていない

日本企業で外国人材が定着しない理由として、「ホウレンソウ不足」が挙げられることは多い。しかし現場を具体的に見ていくと、問題は報告の量や頻度ではないことが分かる。より本質的なのは、どこまでが個人判断で、どこからが組織判断なのかという線が、組織として設計されていない点である。

多くの外国人材は、自分の職務範囲を理解した上で判断している。担当業務である以上、自分が決めるべきだと考えるのは自然だ。一方、日本の管理職は「その判断は相談してほしかった」と感じる。このズレは、価値観の違いでも責任感の差でもない。判断の境界が共有されていないことが原因である。

日本の職場では、判断の線引きが暗黙知として運用されてきた。「これくらいは相談する」、「この程度なら任せる」という感覚は、長年同じ環境で働く中で身につく。しかし外国人材には、その感覚が共有されていない。結果として、本人は正しく判断したつもりでも、評価は下がる。この時点で本人は、自分が何を誤ったのかを理解できない。
ここで重要なのは、ホウレンソウを増やしても問題は解決しないという点だ。判断の線が曖昧なままでは、報告は形式化し、意味のある相談は減っていく。必要なのは行動指導ではなく、判断の境界を設計として示すことである。

2.説明を省くことで育成が止まる

判断の境界が説明されない理由は、管理職が無責任だからではない。むしろ逆で、説明することが責任を明確にしてしまうからである。
「この判断は事前に相談してほしい」と言語化することは、「その判断を組織として引き受ける」と宣言することに等しい。失敗した場合、「なぜ止めなかったのか」という問いが自分に返ってくる。そのため現場では、「常識だから」、「社会人として当然」といった言葉で説明を省略しがちになる。

しかしこの省略は、育成と評価を切り離してしまう。評価は結果として返ってくるが、育成の基準は共有されない。本人は努力しているが、どの行動が評価につながるのかが見えない。この状態では、改善の方向を定めることができない。

日本の管理職が意図せずやってしまっているのは、「判断の基準を見せずに、結果だけで評価する」構造だ。この構造の中では、慎重な人材ほど動けなくなる。一方で、判断力の高い人材ほど早く気づく。「ここでは判断の仕方は学べない」と。

結果として、組織には従順だが判断を避ける人材が残り、主体的に動ける人材ほど静かに離れていく。これは個人の問題ではなく、説明を省いた組織設計の帰結である。

3.定着を決めるのは将来の見通し

人材が定着するかどうかを決めるのは、現在の評価や処遇だけではない。最も重要なのは、この組織で判断を任されるようになる道筋が見えるかどうかである。

優秀な人材が去るとき、そこに大きな不満があるとは限らない。彼らは冷静に環境を観察している。判断しても、その是非は後からしか分からない。基準は状況によって変わる。説明は与えられない。この環境で時間を投資し続ける意味があるのかを、合理的に考えている。
このとき本人が下しているのは、「評価が低いから辞める」という判断ではない。「この組織では、自分の判断力がどのように扱われるのかが見えない」という判断だ。将来像が描けない環境に、人は留まらない。

外国人材の定着問題を解決するには、制度や研修を増やす前に、判断をどう扱う組織なのかを明確に示す必要がある。どの判断は共有し、どの判断は任せるのか。その理由は何か。それを評価と結びつけて説明できるかどうかが、分かれ目になる。

まとめ

ホウレンソウの前に、判断を設計できているか

ホウレンソウはマナーではない。組織の判断構造を支えるための仕組みである。

その前提を示さないまま行動だけを求めれば、報告は形骸化し、人材は育たない。問われているのは、外国人材の適応力ではなく、組織が自分たちの判断をどこまで言語化できているかである。
人材が定着するかどうかは、判断の扱い方が見えるかどうかで決まる。

次回予告

次回は、「判断の線を、現場でどう言語化するか」と、実際のマネジメント場面に即して掘り下げる。